南野 一紀
0.「小説は文学の顔だ」って、宮本輝が言ってました
北日本文学賞の選評か何かを読んだ時、作家の宮本輝さんが、「タイトルっていうのは、作品の顔なのでタイトルは重要ですね」という言葉を残していたのを読んだ記憶があります。
世間的にも、相当文学に詳しくない限り、作品は評判と宣伝文句とタイトルと表紙と書き出しで選ぶという人は多いみたいですし、僕もその辺は少し気になります。
今回は宮本輝さんが「小説の顔」と言っていたタイトルについて述べていきたいと思います。
目次
0.「小説は文学の顔だ」って、宮本輝が言ってました
1 . 保坂和志
2 . 三島由紀夫
3 . 石原慎太郎
4 . 南野一紀、僕のタイトルの付け方もご紹介します
5 . まとめ
1 . 保坂和志
保坂和志さんは九〇年代にデビューした作家さんで、鎌倉に住んでいる人なのですが、詳しくはリンクを掲載しますので、見ていただけると幸いです。芥川賞受賞者でもあり、文学界の重鎮です。
保坂さんは気取らないタイトルの付け方が特徴で、気取った時でもやはり、富裕層やマダムやおじさんに響くようなタイトルの付け方します。『残響』とかはそれでしょう。
それも踏まえた上でなのですが、保坂和志さんのタイトルの付け方で時々、やってくるのが、『草の上の朝食』、『生きる歓び』などの二十世紀初頭の絵画からタイトルをもらってくる手法です。
これはマダムの層に喜ばれますし、僕自身も大好きです。
朝に関係があるタイトルもよくつける作家さんだなぁと思いますので、気になった方はチェックしてみてください。
2.三島由紀夫
三島由紀夫さんのタイトルの付け方は、『金閣寺』とか『仮面の告白』とか『女神』とか『海と夕焼け』とか、古典的で格調高く、体言止めを多用する短いタイトルのものが多いです。
三島さんは観念的なものの考え方をする人ですが、その実、物やフィジカルな見方もできる人で、それがタイトルの出ているなぁって感じます。
タイトル見ただけでちょっと近寄り難くはあるけど、保守的でカッコいいから憧れるし、読みたいなぁっていうのは文学好きな人ならけっこう誰もが持つ感情なんじゃないかと思います。
ただタイトルからだと、どんな作品かが想像がつかないので、読者にこんな作品ですよって伝えたり、アピールしたりするのにはこの方法は向いていないんですよね。
実際に三島さんの作品を読むと、タイトルから想像するのとだいぶ違かったなっていう読後感持つことは多いです。
それでも作品がすごいので問題はないですが、タイトルの付け方としては高級志向なので、好き嫌いはハッキリ分かれてしまうところでしょう。
3 . 石原慎太郎
石原慎太郎さんは言わずと知れた大物作家でかつ東京都知事まで務めた、コトノハが一番推している作家さんなのですが、この方もタイトルの付け方最高です。
『天才』、『男の粋な生き方』、『「私」という男の生涯』、『太陽の季節』、『湘南夫人』、「暴力計画」、「ワイルドライフ」、「特攻隊巡礼」など様々な作品があります。なんといっても特徴的なのがタイトルにそのままこの人の生き様や美学が滲み出ていて、タイトルを見ただけでも読みたい衝動に駆られてしまう粋なタイトルの付け方ですよね。
何が粋かって、この人がどんな美や思想に命賭けたかって、誰が見てもわかるタイトルの付け方、そして短い言葉で伝えつつ、惹きつけるこれが最高ですよね。
タイトルを見るだけで生きる気概が湧いてくるようなそんな感じがしませんか?
それはちょっと大袈裟かもしれませんが、そのくらい素晴らしい人です。
4.南野一紀、僕のタイトルの付け方
僕は三島由紀夫さんや石原慎太郎先生に比べると、度胸が足りないっていうか、ちょっと女の人に気を使いすぎたかなぁ、それでもいいタイトルつけたいから、自分の持ってるものでいいタイトルつけようってことでがんばってます。
最近凝ってるのが、ルミネの広告とかレディコミで有名な東村アキコさんや獅子さんが使いがちなトーン、これを足す方法が好きでよくやってます。
伝わりやすい、目を惹きやすい、謎が提示できる、キラキラしてて綺麗、強くてかっこいい、欲望とロマンス、そしてそこに少しの自重と倫理。
それで打ち出していきます。結果は大して出てないですが、これは継続することにこそ意味があるので長く続けます。
「檄文は待ってくれない――トマティートの美学――」、「デパート文学宣言――デパートの女性こそが文学界を救う‼︎――」、「夕暮れの季節――飲んで騒いでしたいなと思った挙句、石原慎太郎の人生に想いを馳せた日のこと――」、「文学顔面ブロック論――コトノハ文学教室はラテン系のノリで文学世界を保守していきます!――」、「情熱の国スペインってのはさ、パエージャもアヒージョも最高だし、一生一度きりの人生、『踊れ、トスカーナ』に出てる感じのフラメンコダンス踊れる女性と結婚したいよな――スペイン料理と映画『踊れ、トスカーナ』は芸術の最高峰だって、絶対説得されるからぜひ見てください――」、「時間の翼――観念の時間はなぜ甘美なのか――」、「モデルを信じ抜くことの美学Ⅱ――「逆境に手を合わせなさい」という稲盛和夫先生の言葉を熟考し、結果、精神美のモデル・中上健次と坂井泉水、果ては、信じるものを一つにする女性について考えた夜のこと――」、とかこんな感じのが多いです。
ちょっとこだわりすぎかなぁっても思いますけど、このくらい広告に近い手法で打ち出した方が読んでもらえるかなぁって思ってます。ただ倫理と品位はもう少しあってもいいですけど。
5.まとめ
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了
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