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   買い物の流儀

H.N

 海外に住んでから、買い物の仕方が変わった。と言うのも、帰国する際に四年間住んだ家から、自分のものを処分せねばならず、そのことが若干トラウマとなってしまっているからだ。目の前に広がったゴミ袋の山と、持って帰りたかったのに持って帰らないことにして後悔しているもの、バッグをパンパンにしながら持って帰ってきたのに部屋の隅に放置されているヨガマット、全てがいまだに私の頭を緩やかに締め付ける。

 生活するために必要なものと、娯楽のために必要なものを分けて考えたことがあるだろうか。常にそうして考えて、買うか買わないかの参考にしているなら、やめておいた方がいい。お金のために我慢して買ったものや、周りに流されて買ったものは、根っこを断ち切らない限り生え続ける雑草のように、いつまでも頭を悩ませ続ける。

 自分の身の回りに置くものは、絶対に必要だと言い切れるものだけにしておいた方がいい。荷物は軽く、それでいてお気に入りを。そういった方が、ものが溢れている時よりも、自分を幸せにしてくれると思う。たまに自分の本心を読みあぐねるけれど、間違いたい気分だったとしておこう。

了 

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